LAP

One Size Fits One Furniture in KIOSK Kiosk

Furniture in KIOSK
―家具・空間を感覚的に検討するワークショップ

電子工作やデジタルファブリケーション技術を活用した、新しいデザインの方法・形式を模索している「LAP」のメンバーとともに、寸法(=数字)を意識しない「感覚的な検討」をもとに家具のデザインをし、同時にそれらをレイアウトした空間のデザインも行なう。
まず、学校などの参加者にとって馴染みのある場所に、決められた大きさのキューブ状のスペース=Kioskが設置されることを想定し、その場所で行なわれる人々の行動=「アクティビティ」についてリサーチし、実際にそのスペースが活用されるシーンを考える。
次に、設置場所となるKioskの中に、どのような形・大きさの家具を、どのようなレイアウトで配置するのか、「検討ツール」を用いて検討し、実寸サイズで家具のボリューム感や空間内でのレイアウトをデザインしていく。
最後に、「検討ツール」で決定した形状をもとにパラメトリックに図面データを生成したうえで、デジタル工作機器を用いて切り出した材料を組み合わせて家具を制作する。
なお、本ワークショプで検討・制作する家具デザインはLAPで制作した「One-size-fit-one」をベースに発展させたものを用いる。

実施情報

ワークショップスケジュール
第1回 2019年9月14日(土):イントロダクション、元の作品「One-size-fits-one」を体験
第2回 2019年9月15日(日):アイディエーション
第3回 2019年10月5日(土):検討ツールを使った家具サイズの検討、計測
第4回 2019年10月6日(日):家具制作
第5回 2019年10月19日(土):家具制作
第6回 2019年11月9日(土):プレゼンテーション
展示 2019年12月5日(木)〜7日(日):作品展示、プレゼンテーション

 

参加校
岐阜県立大垣東高等学校
岐阜県立岐阜商業高等学校
岐阜県立加納高等学校

 

開催場所
ソフトピアジャパン ドリーム・コア、ワークショップ24

 

デザインシステムについて

家具のアーキタイプ

「幅」「高さ」「奥行き」など複数の可変するパラメータが与えられた3種類のアーキタイプ家具。これらの家具はシンプルな形状にすることで、サイズの変化による多様な用途に対応できるよう設計。ワークショップ内では、アーキタイプの中から想定するシーンで必要と思われる家具を選択し、「座れる高さのもの」「テーブルとして使えるもの」のように目的に合ったサイズを決定し制作。またそれらの家具を組み合わせていきKisok内の空間をレイアウトしていく。

archetypeA

「座面幅 / 奥行」「高さ」と2つの寸法値にパラメータが与えられた家具。座面の幅・奥行は連動し形状が生成される。このアーキタイプはスツールのような形状から、座面サイズと高さを変化させることにより、テーブルやローテーブル、ハイスツールのような形状になり、その機能を変化させていく。

archetypeB

「座面幅」「座面奥行」「高さ」の3つの寸法値にパラメータが与えられた家具。このアーキタイプはベンチのような形状から、座面サイズと高さを変化させることにより、ワークテーブルや小上がりのような形状になり、その機能を変化させていく。

archetypeC

「座面幅」「座面奥行」「高さ」の3つの寸法値のパラメータの他、「棚板枚数」「仕切数」の計5つのパラメータが与えられた家具。このアーキタイプは棚のような形状から、高さを低くすることでベンチのように使用したり、サイズを大きく棚板枚数等を増やすことで大型の棚としてなど、その機能を変化させていく。

ボリューム検討ツール

実際の空間で家具のボリュームを検討するツール。コネクタパーツにロッドを通し繋ぎ合わせ立方体のワイヤフレームを構成していき、制作したい家具のボリュームを実寸サイズで検討。実寸で検討していくことにより、他の家具との関係性や設置する場所に対して家具の大きさなど身体的に検討を行なっていくことができる。

センサー / アプリケーション

ボリューム検討ツールで作成した立体を計測するセンサーとアプリケーション。
まずiPodのアプリケーション上で作成するアーキタイプを設定し、「幅」「高さ」「奥行き」の計測方向を選択。
(「幅」「奥行き」を計測する際は、立体の計測先に「計測マト」を設置)
iPodに取り付けられた計測センサーを計測方向に正しく向け、計測ボタンを押すことで「センサー」「計測マト (もしくは地面)」の間の長さを計測することができる。
全ての方向の長さを測り終えたら、PC(Grasshopper)にデータを送信し、図面データが生成される。

Grasshopper / Shopbot

3種類のアーキタイプ家具は、 「幅」「高さ」「奥行き」等を変数とし、Grasshopper上でパラメトリックな図面を作成。上記の センサー / アプリケーションから送信されたデータを読み込むことで、それぞれのパラメータに応じた家具の図面を生成する。
生成された図面を、shopbot(木工用CNCルーター)で切り出し、ヤスリ掛けをし、組み立てて家具が完成する。

ワークショップ成果

岐阜県立大垣東高等学校グループ

Kioskを病院のデイルームに設置することを想定し制作。実際にリサーチをしたところ、様々な人が利用する場所にも関わらず、設置されているテーブルや椅子などの家具は高さが全て同じであることがわかった。また、植物などの緑が少なく殺風景な場所であるという印象を受けた。
それらを改善するために、日当たりの良い窓付近にKioskを設置。窓際には高さの高いテーブルを配置し、その上に植物鉢や雑誌を置ける棚を設置。またテーブルは、点滴をしている人が立った状態のまま使えるような高さに設計した。
Kiosk内のスツールは、様々な人が利用でき、またすぐ隣に置かれたテレビを見る際に視界を遮らないように、高さが異なるタイプを用意した。

 

使用家具タイプ :

  • archetype A ×4
  • archetype B ×1
  • archetype C ×2

岐阜県立加納高等学校グループ

Kioskを山頂に設置することを想定し、景色を楽しめる展望台として制作。展望台として使えるように、高さが異なる6種の「archetype C」を並べていき、階段として使用できるよう設置した。また普段から登山してる方々の「荷物を置ける場所が欲しい」との意見を考慮し、階段として機能を与えつつ、収納スペースとしても使用できるよう制作した。

 

使用家具タイプ :

  • archetype A ×3
  • archetype C ×7

岐阜県立岐阜商業高等学校グループ

部活時に利用する部室にKioskを設置することを想定し制作。現状の部室をリサーチした結果、部室の隅に大量のトロフィーが放置されていたり、資料や書籍などの収納場所が不足していたり、休憩スペースがなかったりと様々な問題点が見えてきた。
それらの問題を解決するためにKiosk内のレイアウトを行った。段状に並んだ場所は、トロフィーを並べ整理しつつ鑑賞できるようにし、また段の下は、書籍などを収納するスペースとして活用できるようにした。サイズの大きい「archetype C」は、テーブルとして使用できる他、中に入り寝転んで休憩できるようなサイズに設計した。

 

使用家具タイプ :

  • archetype A ×1
  • archetype B ×2
  • archetype C ×3